ギャラリー&バー「シグナル」(港区虎ノ門1)で7月21日、トークイベント「再開発としての時間軸」が開催された。
2023年にオープンした同店。社会課題をテーマにした展示やイベントを行い、アートを通じて社会の「兆し」を発信している。これまで現代アートや写真、インスタレーションなどを展示してきた。6月16日から7月25日まで、マルチメディアアーティストのJACKSON kakiさんによる企画展「空間の肉」を開催した。
同展の関連企画として開いた今回のイベントには、JACKSON kakiさん、森ビルの中裕樹さん、中央日本土地建物の三木純さんが登壇。再開発にかかる時間、地権者や地域住民との関係、土地の価値と建物の高層化、都市開発にアートやカルチャーが関わる可能性などについて、約1時間30分にわたり意見を交わした。
トークでは、完成した建物や街区の背後にある「再開発の長い時間」が話題になった。JACKSON kakiさんは「アーティストは期間が決まった中で作品を完成させるが、再開発は35年など、1世代では終わらない時間をかけて街をつくる。最初に決めた人から実際に動く人まで、その時間がどのように引き継がれていくのかを聞いてみたかった」と話した。
中さんは、完成まで約35年を要した「麻布台ヒルズ」を例に挙げ、「長く時間をかけること自体が目的だったわけではない。一軒一軒、地域の人と丁寧に話していく中で、結果的に35年以上かかった。麻布台ヒルズは長い期間にわたり地域の人と付き合いながら出来上がった街。完成後は、そうした思いを背負いながら街を育んでいく必要がある」と述べた。
三木さんは「再開発は、時間をかければ必ず実現するわけではなく、途中で計画が中止になる地区も実際にある。地域に解決すべき課題があり、事業が街や社会にとって必要だと認められて初めて実現する。地権者の思いと社会が求めることを調整し、事業を最後まで進めることも、デベロッパーの大きな役割」と話した。