ガード下「新橋ステーションバーバー」「牛めしげんき」閉店へ-駅改修工事で

多くの学生やサラリーマンの腹を満たしてきた「牛めしげんき」。間もなく50年の歴史を閉じる

多くの学生やサラリーマンの腹を満たしてきた「牛めしげんき」。間もなく50年の歴史を閉じる

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 JR新橋駅日比谷口の理容店「新橋ステーションバーバー」と、隣接する牛丼店「牛めしげんき」が6月26日、半世紀以上続いた歴史の幕を閉じる。両店には、閉店を聞きつけた常連客らが最後の散髪や食事に次々と訪れている。

「新橋ステーションバーバー」最後の散髪に並ぶビジネスマンら

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 新橋ステーションバーバーは戦後間もなく、新橋駅の旅客サービスの一環として理容店兼荷物預かり所として開店した。「当時の国鉄と政治団体に人脈のあった先代が、引揚者対象の事業と新橋の復興を目的に当局より依頼されたようだ」(オーナーの大澤忠夫さん)。当時は7台の散髪台だったが、今では理容いす19台を備え、スタッフも30人近くになった。

 シャンプーとひげそりが付いたカットの料金は1,950円。「安い、早い、うまい」が売りで、忙しい大手企業の社長や会長が黒塗りの車で訪れることも少なくなかったという。客の注文も「いつもの」「そろえてほしい」などが多く、場所柄「角刈り」も人気。スタッフは皆長く、40年以上勤めた人も3人いる。勤続41年の男性は「新橋の変遷をつぶさに見てきた。(閉店は)寂しいが時代の流れ」と話す。安保闘争の時代には、新橋駅を襲う学生らから店を守るため、交代で徹夜の見張りをしたこともあるという。

 同店は7月1日より、ニュー新橋ビル2階で「ニュー新橋バーバー」として再出発する。理容いすはこれまでの約半分の11台に。店内のインテリアはモダンなデザインに一新するという。移転に伴い、大澤さんがこれまで同所で営業していた理容店「進取の気象」は同ビル4階へ移転した。

 一方、庶民の味として親しまれてきた元祖牛丼店「牛めしげんき」は、1955(昭和30)年ごろ「かめちゃぼ」という店名でオープン。その後店主が変わり、「なんどき屋」に改名。25年ほど前に大澤さんの代となり、「牛めしげんき」としてその歴史を歩んできた。「なんどき屋」時代にのれん分けしてオープンした同名の牛丼店は今も新橋3丁目で営業している。

 同店の「牛めし」は、大手チェーン店の牛丼と異なり、味は濃厚ですき焼きを思わせる味が特徴。具材は肉厚の牛肉と玉ネギ、焼き豆腐、糸こんにゃく。どこか懐かしさを感じさせる手作りの「牛めし」は400円から。薫平さんは「子どものころからこの味が『牛丼』だと思っていたので、初めてチェーン店の牛丼を食べたときは驚いた(笑)」という。同店は牛丼マニアの間では知られた存在で、閉店を惜しむ声が多い。

 両店を経営する大澤忠夫さん・薫平さん親子は「雨漏りやネズミに悩まされなくなると思うと寂しい(笑)」としながらも、「できればこのまま続けたかった」という思いも。「ここは明治の建造物。いつかはこうなることは分かっていたし老朽化も激しい。残念だが、いつかは建て直さなければいけないもの」と無念さを断ち切るように話す。最後の日も潔く「淡々と普通に営業して片付ける」予定だという。

 JR東日本では昨年より、新橋駅の耐震化やバリアフリー化などの改修工事に着手。これまでにアメリカンポテト、新橋書店、ドトールコーヒー、けいきゅうストア、羽衣(中華料理)など多くのの構内のテナントが退去している。「牛めしげんき」「新橋ステーションバーバー」があった場所には今後、ホーム階への階段とエスカレーターが設置される見込み。

 営業時間は、「ステーションバーバー」=8時30分~19時30分、「牛めしげんき」=7時~21時。

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