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新橋に青森郷土料理居酒屋-震災乗り越え開業、被災地旅館の建材使う

外壁のねぶたが目を引く「おんじき しんばし家」。店名は青森の方言で次男を指す「おんず」の韻と、飲食の別読み「おんじき」と近いことから

外壁のねぶたが目を引く「おんじき しんばし家」。店名は青森の方言で次男を指す「おんず」の韻と、飲食の別読み「おんじき」と近いことから

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 建設中の環状2号沿いに新築された新橋プラザビル(港区新橋4)に9月19日、「北の台所 おんじき しんばし家」(TEL 03-6435-6601)がグランドオープンした。運営は八戸で広告代理店業などを営むピュアハウス。

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 同店は八王子店(1999年創業)、立川店(2002年創業)に続く3店舗目。店主の佐々木博展さんは地元八戸のすし店で修業を積んだ後、上京。都内の料亭で和食を学び板長に昇格。その後、八王子で独立した。ピュアハウス社長の兄・康人さんがマネジメントを担当し、現場は博展さんが取り仕切る。

 「3店舗目は都心に」と、六本木をはじめ人気エリアは全て当たったという。なかなか条件に合う物件が見つからない中、新橋プラザの話が舞い込んだ。しかし契約が決まったころに震災が発生。地元八戸も大きな被害に遭い、同社の営業車も1台津波にのみ込まれた。出店の話は3カ月間停止した。

 青森の食材を売りにしている八王子店・立川店も仕入れができなくなり、窮地に立った。「地元が復活できるのか、もしも同じことが東京で起きたらと悩み、なかなか前に進めなかった」と康人さんは振り返る。そんな折、地元信用金庫から融資を申し出があった。「自分たちが店をやることで元気を発信できるのでは」。出店企画が再開した。

 「おんじき」は古民家がテーマ。当初はしんばし家にも一般の古材を使う予定だったが、縁があり、津波被害に遭った旧「やまつ屋旅館」(青森県八戸市)から建具や部材を譲り受けることになった。1868(明治元)年創業の同館は、明治天皇が宿泊したこともある老舗旅館。2008年に閉館したが、歴史ある建物のためそのままになっていた。しかし今回の震災で1階部分が浸水。取り壊しが決まっていた。

 店舗面積は75坪。立ち飲みスペースも含め、席数は116席。「感謝の気持ちを込め、オール青森で行きたい」と、外壁には大きなねぶたの絵を配し、店内のレイアウトは青森の地図を意識した。回廊の中央にある厨房が陸奥湾。八戸に当たる部分にはやまつ旅館から寄贈された建材を用いた。「思い出が残ったと旅館のオーナー一家にも喜んでもらっている」。

 料理は全て職人が作る本格的なもの。「せんべい汁」「いちご煮蒸し」(以上945円)、「帆立の貝焼みそ」「イカのごろ焼き」(以上819円)、売上年間トップという「ウニのにぎり」(1貫630円)、「生いくら丼」(1,050円)、「刺し身盛り合せ」(1,365円~)、「ホヤの塩辛」(420円)、「イカと帆立のウニあえ」(788円)、「赤貝の酒盗あえ」(546円)、いぶりがっこを天ぷらにした「がっこ天」(452円)など。

 ドリンクも地元や東北にちなんだものをそろえる。アサヒスーパードライ(ちび生=399円/中生=525円)、瓶ビール(525円~)、岩手の地ビール(683円)、サワー類(441円~)、岩手産ワイン(グラス=473円~/ボトル=1,575円)、日本酒には宮城の「一の蔵」(494円)、岩手の「南部美人」、山形「十四代」(1260円)などを多数用意。八戸白金の味「八戸バナナ阿サイダー」(368円)なども置く。

 営業時間は16時~23時。日曜定休。

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