日本酒造組合中央会(港区西新橋1)は10月1日の「日本酒の日」を祝い、道行く人々に向けて今年の新酒を無料で振る舞った。同イベントは1978年の「日本酒の日」制定以来始まり、今年で31回目。
振る舞い酒は正午と夕方5時の2回、同組合ビル1階「日本の酒情報館」前で行われた。用意されたのは東京都内の蔵で造られた東京の地酒で、今年の新酒。それぞれ同組合理事などの関係者らによって鏡開きを行った後、待ち構えていた日本酒ファンや人だかりを見て集まってきた人々へ振る舞われた。
並んだ人の列は、正午の部には50メートル、夕方の部には100メートルほど。準備していた記念升300個(正午の部は200個)とグラス120個はどちらも30分ほどでなくなった。人々の喉に収まった酒は四斗樽2個、一升瓶にして40本分。
振る舞い酒を楽しんだのは近隣のビジネスマンやOL、酒好きの常連ら約600人。酒は「お代わり自由」ということもあり、昼から2回3回と杯を重ねる人の姿も。近くの運送関係企業に勤める男性5人は、「たまたま通りかかった。昼休みなので午後から仕事だが、大丈夫。上司も一緒なので(笑)」と話した。
野沢温泉「桃源の湯 さかきや」東京営業所所長の二宮正夫さんは、「知り合いの社長と(同ビル)地階の店で食事をした帰り。下の店にはよく来るが、このイベントは知らなかった。社長が車なので、2杯とも私が飲んだ」と、イベントに遭遇した幸運を喜んだ。
同組合によると、10月は新米が収穫されて新酒が醸される月。また、現代の9月末から10月に当たる「酉の月」の「酉」という漢字は、元来壷の形を表す象形文字で酒を意味したという。酒造界には10月1日を「酒造元旦」として祝う風習が今も残るる。それらを踏まえ、10月1日が「日本酒の日」となった。