東京家庭裁判所(千代田区区霞が関1)は10月10日、新しく始まった裁判員制度の模擬裁判ができる「体験!裁判員裁判」を実施した。同イベントは同月1日から7日にかけての「法の日週間」にちなんだ企画。一般公募による46人は実際の裁判に基づき、本物の法廷で模擬審理を行った。
同イベントは、裁判員制度の理解を深めるため、裁判所、検察庁、弁護士会、法テラスが共催で行ったもの。数年前から開催していたが、裁判員制度が始まってからの同模擬裁判イベントは初めて。同裁判所総務課広報担当者は、「昨年までは熟年層が多かったが、今年は学生の姿も多くみられた。裁判員制度が始まり、注目されたのではないか」と分析する。
模擬裁判は午前と午後の2回開催され、抽選で選ばれた小学生から70代までの男女が参加。それぞれ抽選で裁判長1人、右陪席(右側の裁判官)1人、左陪席(左側の裁判官)、検察2人、弁護人2人、被告1人、証人3人、陪審員5人の配役に挑んだ。上記の役に漏れた参加者は「傍聴人役」となった。
裁判員制度では通常、3人の裁判官と6人の裁判員によって進められる。この日は審議がスムーズに運ぶよう、6人目の裁判員は現職裁判官が担った。現職の弁護士や警察官、検察官も同席し、「審理」をサポート。参加者は、用意された模擬事件の台本を元に、役者さながらの演技で真剣に模擬裁判に取り組んだ。
裁判所内は法廷も含み写真撮影は禁じられているが、模擬裁判終了後は「特別に」記念撮影も許可された。参加者は裁判官用の法廷服を代わる代わる羽織り、貴重な1枚をカメラに収めた。「皆とても熱心。裁判に参加する配役から漏れ、傍聴人となった人は残念がっていたほど。特に小学生は迫真の演技で素晴らしかった」と広報担当者。
裁判員制度は今年5月21日より施行され、同年8月3日に初の公判が行われた新制度。裁判員には、国会議員や司法関係者、自衛官など一部を除き、有権者であれば原則として誰でも選ばれる可能性がある。対象となる事件は、地方裁判所で行われる刑事訴訟事件の第一審。