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西新橋に岩手ブランドの鶏料理店-工場被災乗り越え復活アピール

被災の苦難を乗り越えてオープンした「旬鮮市場南部どり 内幸町店」

被災の苦難を乗り越えてオープンした「旬鮮市場南部どり 内幸町店」

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 西新橋に岩手ブランドの鶏料理店「旬鮮市場南部どり 内幸町店」(港区西新橋1、TEL 03-6268-8497)がオープンして1カ月が過ぎた。場所は閉店したイタリアンレストラン「Osteria Pizzeria ROZI」跡。

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 経営はダイニングキャスト(新宿区)。同社は岩手県内で「南部どり」を生産・加工・販売するアマタケ(岩手県大船渡市)のグループ会社だ。アマタケの鶏肉のアンテナショップとして出発し、南部どりと岩手県産食材を使った居酒屋を展開する。現在、都内に5店舗を直営しており、同店は同業態3店舗目。席数はカウンターを含め55席を用意する。

 アマタケは東日本大震災の津波で、大船渡市と陸前高田市に所有していた鶏肉解体加工工場3棟のうち2棟を流され、1棟が1階部分浸水の被害を受けた。経営していた養鶏場は無事だったものの、石巻にあった飼料タンクも流され、道路も分断されたことにより給餌の継続が困難となった。種鶏だけは何とか守り続けたが、震災でスタッフ11人が犠牲となり、100万羽の鶏を失った。被害総額は約40億円に上るという。

 都内に4店舗を展開していた店では、野菜や海産物は産地を変え、鶏肉も南部どり以外のもので営業を継続。しかし、虎ノ門に出店が決まっていた新店舗の企画は白紙になった。「このまま暗くなっていてはだめだ」と、残った大船渡の工場をスタッフ一同で清掃。2011年7月に再稼働を果たした。種鶏を守ったことで養鶏も順調に復興。「震災後支えてくれた常連客への感謝の気持ちと、完全復活をアピールしたい」と西新橋に新店を開いた。

 メニューは、「南部親鳥炭火炙(あぶ)り焼き」(980円)、「当店自慢 手羽先揚げ」(5本、610円)、「プリプリ鶏皮のユッケ風」「大船渡浦嶋商店 さんまスモーク」(以上500円)、「陸前高田産 おつまみ昆布」(380円)など。今季は終わったが、季節によっては「あまちゃん」で有名になった久慈の天然ウニやホヤも用意する。ランチは880円から。

 ドリンクは、アサヒスーパードライ生(580円)、焼酎・サワー(480円~)などのほか、「あさ開・水神」「南部美人(純米吟醸)」など岩手の地酒にも注力。岩手の契約農家で収穫した「ひとめぼれ」を南部美人の蔵元に持ち込み、「特別に醸造してもらっている」というオリジナル日本酒「天神山」(以上680円)も。

 ダイニングキャスト広報の東秀治さんは「おかげさまで震災前の7割ぐらいまで復興した。今後は最低年1店舗ずつ都内で展開していきたい」と意気込みを見せる。「間もなく大船渡のサンマが入荷する。来年からは養殖のホヤも出荷できるようになる。『あまちゃん』人気にもあやかれたら」とも。

 営業時間は、ランチ=11時30分~14時、ディナー=17時~23時。土曜・日曜・祝日定休。

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