新橋の老舗すき焼き店「今朝」で親子すき焼き教室-食育企画の一環で

仲居の女性の手さばきに見入る参加者ら

仲居の女性の手さばきに見入る参加者ら

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 1880(明治13)年創業の老舗すき焼き店「今朝(いまあさ)」(港区新橋1、TEL 03-3572-5286)で8月25日、すき焼きを通じて食を学ぶ「親子体験食味学習会」が開催された。

すき焼きの調理に挑戦。

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 同会は小中学生とその保護者を対象にしたもので、同店が加盟する国際観光日本レストラン協会(中央区)主導の食育企画。昨年から始まり、今年は「中国料理 北京 帝国ホテル店」(千代田区)、「椿山荘 レストランカメリア」(文京区)、「なだ万 日本橋店」(中央区)など、全国37の料亭やレストランが参加した。

 「今朝」での開催は昨年に続き2回目。参加者は幼稚園児から小学6年までの子どもとその保護者6組12人。うち、女児1人は昨年母親と参加したリピーターで、今年は父親と参加した。「お父さんが『ずるい。自分も行きたい』と参加を希望された(笑)」(同店5代目・藤森朗社長)。

 学習会の内容は各店舗に任されており、「思考錯誤だった」と藤森社長。「食というのは命をいただくこと、その命や生産者への感謝の気持ちを持つこと、立ち居振る舞いや食事作法などのマナーについて話をした」という。藤森社長は「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつや、「座敷に上がるときは靴をそろえる」といったマナーにも触れ、はしが持てなかった園児には持ち方を教えた。

 すき焼きがかつてのように「特別な日のごちそう」ではなくなり、「食べたことのない子どもも増えている」と藤森社長。「すき焼き自体、食べる習慣がなくなってきている。今の若い世代はすき焼きより焼肉を好む」。藤森社長は、すき焼きという食文化の継承に繋がることへも期待を寄せる。

 今回振る舞われたのは、5,250円のランチのフルコース。前菜は「もずく酢」「白瓜の昆布〆梅肉添え」など3品。「新涼造り」の冷しゃぶ風料理が出た後は、メーンのすき焼き。すき焼き初体験の児童もいたが、「肉が登場すると子どもたちの顔が輝いた(笑)」と藤森社長。

 同店の仲居がすき焼きの作り方の手本を見せると、子どもたちは熱心に見入った。同店のすき焼きは「割り下」を使う関東風。食材は、黒毛和牛、千住ネギ、シイタケ、エノキダケ、焼き豆腐、タケノコ、春菊、白滝。若い母親が「勉強になる。今まで作り方がわからなかった」とメモを取る姿も。

 子どもたちは長い菜ばしに苦戦しながら、各自調理を楽しんだ。藤森社長は「すき焼きは自分の分の調理だけでなく、相手の分の調理もしなければならないし自分も食べなければならない心配りが必要な料理。学ぶことは多い」と話す。園児も含め、子どもたちは全員大人向けのフルコースを残さず食べた。

 帰りには「特製そぼろつくだ煮」(4,200円)が土産として各親子へ進呈された。藤森社長は「来年以降も学習会を続けていきたい」と前向きな姿勢をみせる。

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