ニュー新橋ビル(港区新橋2)で3月4日、消防署員140人、同ビル関係者500人が参加する大掛かりな消防演習と防災訓練が行われた。これに伴い柳通りや京急の搬入口付近の道路は一時的に封鎖され、駅前のSL広場は「避難」した人々でいっぱいになるなど、映画「252 生存者あり」さながらの光景に通行人らも息を飲んだ。
訓練は「春の火災予防週間」を受けて実施したもの。当日は芝消防署管轄エリアから、延長40メートルのはしご車や空中作業車、ポンプ車、起震車などの特別車両10台も出動した。
9時30分、「地震発生」の館内アナウンスとともに訓練開始。同ビル関係者らは机の下にもぐるなどの自衛措置をとった。その後、同ビル3階の喫茶店「カトレア」のマスターがエスカレーター付近で「火災を発見」。同フロアの印鑑店「慶應堂」店長が実際に119番に通報した。
消防署員が現場に「到着」するまでの間、同ビルの自衛消防隊が消火器3本による初期消火活動を開始。防火扉の閉鎖やエレベーター、エスカレーターもすべて停止された。ビル内の人々が救護テントを設置したSL広場へ避難した後、消防隊が「到着」。地上から一斉放水を行った。
訓練の後半は「4階テラスに逃げ遅れた人がいる」という設定の下、レスキュー隊による救護演習を見学。レスキュー隊による屋上からの降下や、つるべ式救難用具「緩降機」の実演、シューターでの11階からの避難が実施された。
ビル内では煙発生器を使うなど、緊迫感あふれる演習に参加者も真剣。「これまでの避難訓練とは違い、顔見知り以外とも互いに協力するなど大きな変化があった」(同ビル自衛消防隊代表者)という。広場でのAEDの訓練や起震車による地震体験にも積極的に参加する姿が見られた。
同ビルでは年2回、春と秋に訓練を実施してきたが、今回のような大規模なのものは初めて。同代表者は「港区役所と芝消防署の協力を仰ぎ実現した。ここまで大きくするのはどうかと思っていたが、みんなの意識が高まり非常に良かった。今後も形を変えながら演習も行っていきたい」と振り返った。