新橋駅前SL広場で6月3日、大内延介九段による第67期名人戦七番勝負大盤解説会が行われた。主催は愛宕一之部連合町会(港区新橋2)で、今年で11年目。
大盤解説会は、各地で行われる対局の中継を見ながら大盤の駒を動かしリアルタイムで解説していくもので、春の名人戦、秋の竜王戦の年2回開催している。解説は開催当初より大内九段が行う。聞き手はNHKの将棋講座でも活躍する藤森奈津子三段、大盤操作は藤森三段の長男・藤森哲也三段。
この日は18時30分より秋田県の秋田キャッスルホテルで行われた羽生善治名人と郷田真隆九段の対戦第5局目を生中継解説。
「今回は羽生名人が通常やらないセオリーで勝負に臨んでいたため注目度が高く、例年に比べて人出が多かった」とイベント担当の山中さん。近隣や遠方から駆け付けた大勢のファンだけではなく、仕事帰りのサラリーマンも「大勝負」に足を止め、200人以上の観客で広場は熱気に包まれた。
名人戦では、「A級」と呼ばれる順位戦の優勝者が名人と七番勝負を戦い、勝者が次の名人位のタイトル保持者となるもの。4局目まで2勝2敗と引き分け、勝敗が注目されていた今回の対局は19時25分、137手で先手の郷田九段が勝ち3勝2敗とし、初の名人位へ王手をかけた。通常より1~2時間も早い投了に拍子抜けした観客も多く、「あれよあれよという間に終わってしまった。勝負が早くついてしまい、ガッカリ」という声も聞かれ、多くの人が名残惜しそうに広場を後にした。
山中さんは「今回は特に観客の皆さんがかたずをのんで対戦を見守り、熱気が感じられた。本当に楽しみに来ていただいているというのが分かった」と喜びをあらわにする。「SL広場で解説を行うようになって3年経つが、年々人気が高まり問い合わせも増えている」とも。
6月15日・16日に京都で行われる第6局は、大内九段が現地立ち会いで不在のため、新橋での解説は行われない。第6局で郷田九段が勝利して名人位を手にすれば第7局が行われないため、新橋での次回解説会は第6局の勝敗次第となる。