今秋も大内延介九段による竜王戦七番勝負大盤解説会が10月31日、新橋駅前SL広場で始まった。運営は新橋商事(港区新橋2)。同解説会は今年で10年目を迎える。
竜王戦七番勝負大盤解説会は、各地で行われる対局の中継を見ながらリアルタイムで解説していくもの。同社が管理するファロシティビルの完成を祝い企画され、以来春の名人戦、秋の竜王戦の年2回開催している。同社社長が友人関係ということもあり、解説は当時から大内九段が担う。聞き手はNHKの将棋講座でも活躍する藤森奈津子三段、大盤操作は藤森三段の長男・藤森哲也三段。
「新橋は将棋ファンが多い。文化事業の一環で始めた大盤解説会だが、すっかり定着し、年々客足が増えている。待ちわびているファンからの問い合わせも多い」と同社イベント事業担当の山中さん。地元新橋に勤めるサラリーマンだけでなく、遠方から足を運ぶ熱心なファンも大勢いるという。「解説そのものよりも、大内九段の巧みな話術を楽しみにしている方が多く、女流棋士・藤森三段のファンも多数」(同)。毎回150~200人の見物客が集まる。
竜王戦は読売新聞社主催の将棋の棋戦で、七冠(竜王・名人・棋聖・王位・王座・棋王・王将)の中でも最高峰とされるタイトル戦。「竜王決定七番勝負」の勝者は「竜王」と呼ばれ、タイトル保持者となる。第21期となる今回は、「渡辺明竜王」対「羽生善治名人」の七番勝負。1局目は10月18日・19日にフランス・パリで行われており、時差の関係で中継ができないため、解説会は2局から。
解説会にはいつも来ているという新橋勤務の会社員(36)は「自分は下手なので指したりはしないが、テレビでよく見ている。将棋は奥が深く、面白い。解説があるとさらに面白さが増す」と話す。横浜から来た50代男性は「今日はたまたま飲み会があって新橋に来た。将棋は大好きでよく指しに行っている。(解説会が見ることができ)運がいい」と顔をほころばせた。
今年の同戦は初代永世竜王の座を懸けた一戦。永世タイトル獲得は、5連続または通算で7回優勝しなければならない。これまで永世竜王は誕生しておらず、4連覇の渡辺竜王、通算6期優勝の羽生名人のどちらに決まるか世紀の一騎打ちと注目を浴びている。2局目が終了した現在、どちらも2勝ずつ挙げている。
今後の日程は、第3局=11月14日、第4局=同27日、第6局=12月11日(第7局、第8局は解説なし)。開始時間はいずれも18時から。解説会はどちらかが先に4勝を収め、竜王戦の勝負が決まった時点で終了する。