新橋の日本料理「摩耶」本店(港区新橋1、TEL 03-3591-0633)が12月20日、50年の歴史に幕を下ろす。1963(昭和38)年にオープンした老舗で、今年50年を迎えたが日比谷ビル建て替えのため12月20日で閉店する。
しゃぶしゃぶ・すき焼きをメーンに、野菜は加賀や京都から直送の無農薬有機野菜、肉は松阪牛を中心とした和牛肉、魚は金沢や九州からの天然直送のものを使う。調味量も全て無添加で「素材を大切にした料理を提供してきた」という。
食材だけでなく、しゃぶしゃぶ用の銅鍋にもこだわり、江戸の名工(銅職人の星野昇さん)が製作したものを使う。利用客が食べる時間を計算し、炭がゆっくりと、しかも火力は強く持たせるための工夫を凝らして作られたものを使ってきた。
店舗面積は約100坪。席数は、落ち着いた掘りごたつの個室10部屋を含め、目の前で調理する姿を見られるカウンター席など全70席。各テーブルには専属の係がつく。
「戦後、日本が急成長している時代に、その最先端を担う企業の集まるこの場所に開業以来、接待に、会合に、デートに、多くの方に来店いただいた。時代の遍歴とともに、メニューの改正、味の見直し、炭鍋の考案、食材への追及など、お客さまに愛される店づくりに取り組んできた」と振り返るおかみの遠田美沙さん。中には、入社当時上司に連れてきてもらった利用客が、時を経て上司となり部下を連れて来店することもあるなど、多くのファンがいたという。
閉店後は、開店3周年を迎える内幸町店(西新橋1=日比谷セントラルビル地下1階)で営業を続ける。今後は内幸町店1店舗体制となるが、「初心に戻り、引き続き皆さまに愛される店づくりをしていく」という。
営業時間は11時30分~14時、17時~22時。日曜・祝日定休。