新正堂社長、赤穂観光大使に-「切腹最中の日」も認定

店舗は2005年に移転。「田村邸跡はマッカーサー道路計画で真っ二つに分断された。まるで切腹を思わせる」と渡辺社長。

店舗は2005年に移転。「田村邸跡はマッカーサー道路計画で真っ二つに分断された。まるで切腹を思わせる」と渡辺社長。

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 新橋の和菓子店「新正堂」(港区新橋4、TEL 03-3431-2512)の渡辺仁久社長が昨年末、兵庫県赤穂市の観光大使に任命されていたことがわかった。同店では同時期に日本記念日協会より「切腹最中の日」も認定されており、3月14日、初めての記念日を迎えたばかり。

餡(あん)を皮からはみださせ切腹をイメージした「切腹最中」

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 同店は1912(大正元)年創業。初代店舗は、奥州一之関藩・田村右京太夫上屋敷(通称=田村邸)跡地内にあった。田村邸は忠臣蔵の発端となった播州赤穂藩主・浅野内匠頭長矩候切腹の地。そのため、三代目店主・渡辺社長のアイデアで1990年より「切腹最中」(190円)の販売を開始。印象的なネーミングと味で爆発的な人気を博した。

 同もなかは切腹をイメージしたもの。皮からあんこをはみ出させ、包装には鉢巻をイメージした帯が巻かれている。今でこそ大手百貨店からの商談も多く、2007年にはメトロガイドの「東京うまいもの大賞」の1位になるなど同店の看板商品となったが、開発段階では反対意見がほとんどだった。「周囲の説得に2年かかった」と渡辺社長は振り返る。

 取引先などへの「詰め腹を切って来たつもりで」という「お詫び」用としての需要も多い。「証券会社支店長が『謝らなければならない取引先に持って行きたい』と言ったときには、さすがに『火に油を注ぐことになるからやめたほうがいい』と助言した」(渡辺社長)。結局支店長は一晩考えてもなかを持参。先方は笑って許してくれたという。

 渡辺社長は忠臣蔵の情報収集が趣味。店内には関係資料やグッズが置かれ、赤穂浪士がたどった地を訪ね歩くツアー客が店を訪れるたび、法被(はっぴ)をはおり、解説を買って出る。もなかとともに渡辺社長の巧みな話術も人気に。「先日は238人が13班に分かれて来店した。解説はいつもボランティア(笑)」。

 こうした渡辺社長の活動が赤穂市にも伝わり、昨年12月5日、同市の豆田正明市長から「赤穂観光大使」に任命された。同9日には以前より申請していた「切腹最中の日(=3月14日)」の認定が下り、二重の喜びに。日本記念日協会は認定証書への記載認定日を赤穂浪士討ち入りの12月14日にするなど、「粋な計らいをしてくれた」(渡辺社長)という。

 「切腹最中の日」となった3月14日は、浅野内匠頭が切腹した日。渡辺社長によると、「当初『切腹の日』で申請したが、『それはいくら何でも通らない』と言われ、急きょ『切腹最中の日』にした」という。先月14日は認定後初めての「切腹最中の日」。当日は発売当時と同額の170円で販売した。

 営業時間は9時~20時(土曜は17時まで)。日曜・祝日定休。

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