トイレの普及や排せつ教育などを手がける日本トイレ研究所(港区虎ノ門1)は8月21日、低コストでのトイレ改修を施した小学校でトイレ見学会を行った。同企画は新たな試みとして始まった「学校トイレ・バリューアップ事業」の一環。
今回モデルトイレとなったのは、昭和の風情を残す川崎市立旭町小学校(神奈川県川崎市)の2年生・4年生のトイレ。同校のトイレは「見た目、設備の古さ、臭いすべてが『最高』だったため」(同研究所・加藤篤所長)、改修モデルに選ばれた。
多くの学校に取り組んでもらえるよう、「低コスト・短工期」「廃材・騒音の削減」などにも気を配ったという。改修には既存の床や壁に耐久性・耐水性のあるフィルムを貼る方法がとられ、工期は土日の2日間のみ。「従来の改装に比べ、コストを4分の1~3分の1に抑えられる」と加藤所長。
トイレの洋式化が進み、和式便器を知らない子どもが少なくないため、各和式便器と男子小便器には「正しい立ち位置」がわかるよう、足形ステッカーも導入した。壁面には同研究所作成のトイレマナー標識を貼付。周囲がさびていた鏡もフィルムで覆い、デザイン性のあるトイレに「バリューアップ」した。
実施後には児童のトイレ利用回数が増えるなどの変化が見られた。同校の児童からは「トイレに行くのが楽しみ」「きれいなので汚さないようにしたい」「我慢しなくなった」などの声が上がっているという。中にはかわいらしくなった男子小便器を「女子も使いたい」という女子児童からの意見も。
見学会には各地教育委員会を中心に104人が参加。「(改修後のトイレ)は臭気が気にならない」「子どもたちが喜びそう」「学校のトイレをソフト面で改善するという取り組みが良い」「設備だけでなく、トイレ教育が有効と感じた」「低コストと短い工期での改修は魅力」などの感想が寄せられたという。
同研究所ではこのロールモデルを軸に、学校トイレの改修推進に取り組んでいく構え。