たばこ値上げ前日、新橋の小売店では-段ボール箱で「大人買い」も

たばこ値上げ前日、新橋各所では駆け込み購入やあきらめ・容認など、愛煙家たちがそれぞれの思いで過ごしている(写真=栗藤たばこ店)

たばこ値上げ前日、新橋各所では駆け込み購入やあきらめ・容認など、愛煙家たちがそれぞれの思いで過ごしている(写真=栗藤たばこ店)

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 過去最大の値上げ幅となるたばこ税率の引き上げが10月1日に迫った。価格改訂前の9月30日、新橋の愛煙家や小売店はどのように受け止めているのか話を聞いた。

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 JR新橋駅東側ロータリー近くのたばこ店「葉花(はばな)」(港区新橋2)では、10月1日は休業することに決めた。店主の嶋田龍男さんは、「前回の値上げに比べ予約が多かった。ピークは9月29日。明日は休んで棚卸。休業日にするたばこ店も多いと思う」と話す。

 「男性のまとめ買い最高は、300円から410円になるラークメンソール50カートン、段ボール1箱分。女性の最高は20カートン」(嶋田さん)。110円の値上げの場合、50カートンでは5万5千円「お得」になる計算。同店を訪れた新橋在勤の30代男性は、在庫のセーラムライト5カートンをすべて買い上げた。手には別のタバコ店で買った1カートンも。「今週あたりから、目に付いたたばこ店に入っては買い集めている。これで20カートンになった。さすがにもう終了(笑)」。

 新橋6丁目で「つゆきタバコ店」を営む露木隆さんは「2008年のタスポ導入以降、売り上げは70~80%に減った。今回の値上げでさらに落ち込むことは間違いない。税率は上がるがマージンは据え置き。厳しい」と顔を曇らせる。「仕方がないのでもともとの本業であるアクセサリーを手掛けようと思ったが、金の相場も高くなっていて…」。

 同店の「まとめ買い」予約や駆け込み購入は先週ぐらいからで、ピークは今週。最高購入量は、国産では最も値上げ率が高いセブンスターとマイルドセブンを合計100カートン、段ボール2箱分。10万円近く「お得」な計算だ。嶋田さんは愛煙家。「まだ自分の分も確保できていない」と苦笑い。明日は開店休業の見込みという。

 祖父の代からたばこ店を営む「栗藤たばこ店」(新橋4)では、営業時間を通常より2時間延長し、22時まで店を開ける。「数十カートンの『大人買い』は経済的にゆとりのある年配客が多い」(店主の栗藤恭敬さん)という。「2~3日に1回来店する常連の老紳士は30カートン買って行った。彼は1日2~3箱吸うヘビースモーカー。30カートンということは、今後半年近く店には来ないのでは」と推察する。

 栗藤さんは「今日はたばこ屋の大みそかで稼ぎ時」とする一方、「今回の大幅増税は業界いじめでしかない。マクドナルドのハンバーガーが300円になったり、吉野家の牛丼が500円になったりしたらおかしいと思うはず。でも、喫煙者は自分の健康を害しているんだから構わないという発想。ゆがんでいる」と憤る。これまでも小遣いの少ないサラリーマンが「200円で買えるタバコはあるか」と来ることもあったといい、栗藤さんは彼らの今後も案ずる。

 一方、増税に対し、抵抗しない人々の姿も。新橋在勤の20代女性は、「1カートンだけ買った。それがなくなったらあきらめて新価格で購入する」。港区で自営業を営む清原逸夫さんは「愛煙家だが、まとめ買いはしていない。潔く納税するつもり。その代わり、喫煙できる場所を整備してもらいたい」。タバコメーカー勤務の男性は「自分の分のストックは特にしていない」。メーカーの先々について尋ねると、「転職すべきかな(笑)」とも。

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