汐留で「さわれる天体写真展」-指で触って学べるバリアフリー展示

現場ではゼミの学生が交代で水戸から通い、案内にあたる。天体写真は中村教授が撮影したもの。

現場ではゼミの学生が交代で水戸から通い、案内にあたる。天体写真は中村教授が撮影したもの。

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 汐留メディアタワー(港区東新橋1)3階のギャラリーウオーク(TEL 03-6252-8086)で7月23日より、視覚障害者も楽しめる「さわれる天体写真展」が開催されている。

 同展は、「すべての人が1枚の展示資料を楽しめる」をコンセプトに、常磐大学コミュニティ振興学部中村正之研究室(茨城県水戸市)と中村教授が代表を務める「夢集団・星とロマンを語る会」が行っているもの。これまで地元茨城を中心に十数回展示をしているが、都内で一般に向けた写真展を行うのは初。

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 展示されている天体写真やイラストは、熱が加わると膨張する「カプセルペーパー」という特殊な紙を使って印刷。対象物の輪郭が浮き上がっているため、視覚障害者でも指で触れば形状がわかる。解説には点字も併記するほか、今回初の試みとして、音声ペン型ボイスレコーダーも導入した。音声ペンは、資料に貼られたシールに触れると音声が再生されるというもの。

 中村教授が同展を始めたきっかけは、10年ほど前、知人が全盲の祖父に写真を見せたという話を聞いたことから。知人の祖父は表面がつるつるの写真を指で触りながら、「ここに(被写体が)あるんだね」と言いながらさびしそうな顔をしたという。「それが忘れられなくて、何か方法はないかと調べ始めた」と中村教授。

 カプセルペーパーの存在を知り、シカゴ大学ヤーキース天文台(米国ウィスコンシン州)で行われた関連キャンプにも参加。2005年秋から本格的に同展に向け、活動を開始した。 しかし開発の道のりは長く、「最初は試行錯誤の連続。視覚障害者の方に意見をもらいながら改善し、人に見せられるようなレベルになったのが2008年」(中村教授)。

 視覚障害者向けの天体資料はこれまでほとんどなかった。茨城で同展を開催したときには、東京立川から全盲の女性が来場。病気で中途失明したというこの女性は、「(目の見えた)子どものころ星が大好きだったが、視覚障害者用の資料がなく遠ざかっていた。再び天体が学べてうれしい」と涙を流して喜んだという。

 展示物は、星占いでなじみ深い黄道12星座を展示した「黄道十二宮物語」と、土星や木星などの惑星を展示した「わくわくわくせい」の2種類30点。中村教授が撮影した天体写真と解説もあり、「晴眼者も視覚障害者も分け隔てなく楽しめる」(中村教授)。利用者の9割は「晴眼者」で、一般の展示同様に触ってはいけないと思いこみ、触らずに見る人が多いという。「ぜひ目をつぶって触ってみてほしい」(同)。

 触覚型天文資料は無料で貸し出しを行っており、「先々は図書館に置いたり、一般の販売ルートで展開できたら」と中村教授。「まだ視覚障害者や盲学校などにあまり浸透しおらず、今後は認知向上ににも力を入れたい」とも。

 開催時間は9時~19時。入場無料。8月19日まで。

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