来年度に完成を控えた日比谷共同溝の虎ノ門立坑(港区虎ノ門1)で8月20日・21日、小中学生を対象に共同溝建設現場を見学する「かすみがせき地底探検隊!」が行われた。残暑の中、大勢の子どもたちが8月で終了となる共同溝見学に参加。ヒンヤリとした地底に潜った。
同プログラムは文部科学省が主催する「子ども霞ヶ関見学デー」の一環で、国土交通省が企画した16のプログラムのひとつ。「毎年定員枠の3~4倍の応募がある人気のアトラクション」(国土交通省広報課情報公開室担当者)で、3回目となる今回は2日間で児童44人、保護者36人が参加した。
虎ノ門交差点にある工事基地から、工事用の簡易エレベーターで地下40メートルに降りると、気温は肌寒いほどの18℃。時折銀座線の走る音が間近に聞こえ、振動が感じられる。子どもたちは4班に分かれ、先端で工事作業が行われている下水管敷設用路を係員の説明を聞きながら歩を進めた。外の喧騒(けんそう)が嘘のような異空間に子どもたちは皆興奮気味だった。
小学4年生の娘と参加した千葉県の男性は国交省の職員。「子どもに自分の仕事を見せたかった」。埼玉県から母親と参加した小学6年生の男子児童は「母の勧めで参加した。エレベーターがおもしろかった。共同溝内は寒くて驚いた」と笑顔で語った。
「子ども霞ヶ関見学デー」以外にもこれまで、「東京ジオサイトプロジェクト」による地底ライブや能などの文化イベント、修学旅行生への公開をはじめ、多くの一般が見学に訪れた同共同溝だが、9月完成予定の下水管の搬入・設置に伴い、8月一杯で一般公開を終了する。
管理する東京国道事務所道路工事調整課は、8月27日~29日に最後の見学ツアーを開催するという。参加資格は小学4年生以上。「共同溝の見学は人気で、最後の見学会もすでに各日25人の定員まであとわずか」(同課担当者)。
「子ども霞ヶ関見学デー」は1997年ごろから一部省庁で始まり、2000年から全27省庁で開催されるようになった夏休みの学習を目的とするプログラム。今夏は都内を中心に日本全国から保護者を含む15,036人が参加した。
日比谷共同溝は2004年4月に虎ノ門立坑からシールド工法による掘削を開始。桜田門立坑を経由し、2005年6月に日比谷立坑に到達した。今後はすでに完成している三田共同溝、麻布共同溝とネットワーク化される。完成すれば国内最大の共同溝となる日比谷共同溝は、内径6.7メートル、全長1,550メートル。総工費は180億円、うち国の負担が100億円で、日比谷共同溝のために造られたシールドには9億円が投じられている。