虎ノ門の環境移送ベンチャー「イノカ」(港区虎ノ門3)が2月16日、人工的にサンゴ礁の海を再現した水槽内でのサンゴの産卵に成功した。
サンゴ礁生態系を都心部で再現する独自技術を持つという同社は、「自然の価値を探究し、科学技術を発展させる」という理念の下、2019(平成31)年4月に創業した東京大学発ベンチャー企業。微生物や魚などの海洋生物の管理・育成を行うシステムを各種研究機関と共同開発している。
今回は、独自の環境移送技術を使う完全人工環境下での実験となった。自然界と時期をずらして実際の水温と同期することで、日本では通常、6月にしか産卵しないサンゴを冬に産卵させることに成功した。
社長の高倉葉太さんは「2019年の創業直後に沖縄で初めてサンゴの産卵を目にして、『これをみんなにも見せたい』というシンプルな思いつきからチャレンジを進めてきた。初年度は抱卵までの成功、2年目は抱卵どころか親サンゴの不調を招いてしまうという数々の失敗を重ねてきたが、三度目の正直で、ついに成功しうれしい」と話していた。