クリテックジャパン(港区新橋6)は12月20日、パソコンにUSBケーブルでつなぐことのできる超小型虹彩認証装置「IrisKey(アイリスキー)」を発売した。
商品サイズは、幅4.7センチ×長さ9.1センチ×厚さ2.5センチで、カメラ・認証回路(DSP、光彩データ保存メモリ含む)合わせて35グラム。これまでの生体認証装置はドア用のセキュリティーだったこともあり、サイズが20~30センチと大きかった。パソコン用の商品としては同品が「初」だという。XP、Vista、7のウィンドウズ用ログオンプログラムは無償提供する。
同装置は従来の指紋や静脈による認証装置に比べ、生体認証精度が他人受理率(他人と間違う確率)120万分の1以下と大きく向上。本人が拒否される割合はこれまでの指紋や静脈認証装置を10~20%を大きく下回り、0.1%ほどだという。同社代表の對馬一彦さんは「指紋は職業によっては消えてしまうこともあり、静脈認証装置は光や寒さで精度が下がってしまうなど問題が多かった。虹彩は生後18カ月から変化せず、地球上の全員が個別の光彩を持っており、一卵性双生児も識別できる」と話す。
同装置をパソコンに取り入れることで、ID・パスワードの盗難や偽造による「なりすまし」が不可能となり、クラウド利用が安全になるという。これまでの虹彩認証は、ハーバードのジョン・ドーグマン博士がパテントを取ったアルゴリズムが主流だが、同商品は独自技術をを基に10年ほど前から開発。日・米・英・独・中・韓で特許登録を済ませたという。「この10月ごろにやっと使いやすくなり、日本語版プログラムも完成した」と對馬さん。このアルゴリズムにより、従来の虹彩認証では困難だった細い目や下向きのまつ毛にも対応する。
使用方法は同商品の凹面鏡を「一瞬見るだけ」で、処理時間は0.3秒以下。瞳孔の動きを捉えるため、認証は生体のみ。「SF映画のように死体から目玉だけ持ってきても認証されない」という。
「現在は企業からの問い合わせが多いが、家族間でパソコンを共有している場合の利用も考えられる。スマホやタブレットPCへの適用の引き合いもあり、将来的には車の盗難防止に開発したプロトタイプもリリースの予定」と對馬さんは先々の展望に期待を寄せる。
販売は当面同社と代理店での注文販売のみ。価格はオープンだが、指紋や静脈による生体認証装置と同じくらいの3万円前後になる見込み。