ビクター新橋ビルのホール(港区新橋1)で9月13日、「ミャンマー映画祭」が開催され約50人が鑑賞に訪れた。
昨年に続き2回目の上映となる今回の作品は、どちらもラブストーリーがベース。1本目は時代設定が40~50年ほど前の「ドタバタ」コメディー「ぼくを愛して」で、アニメのような効果音や大げさなリアクション、奇想天外なストーリー展開が場内の笑いを誘った。
2本目はミャンマーで人気の俳優たちが出演する4人の男女の愛憎劇「ザベの香り-真実の愛について」で、韓流ドラマ「冬のソナタ」並みの展開の早さとどんでん返しが見どころ。「ザべ」とは、同国の正月にあたる「水祭り」の時期に咲く国民的な花で、現代ミャンマーが垣間見える作品となっている。
「上映作品に出演している女優さんが舞台あいさつにする予定だったが、急に来られなくなった。彼女が来日していれば在日ミャンマー人ももっと来てくれたと思う」と企画・主催する三井優さんは残念そうだったが、ほぼ満席となった場内を見て「ほとんど宣伝せずにこれだけ集まってもらえたのは上々」と笑顔を見せた。
会場では、「日本ミャンマー・カルチャーセンター」などで料理を教えるミャンマー人のマ・ティンさんが用意した手作りミャンマー菓子とお茶が無料で配られた。菓子は「水祭り」に振る舞われるという2種類。中にヤシ砂糖の入った白玉団子にココナナッツをまぶした「モンロゥン・イーボー」と、もち米とヤシ砂糖のういろうのような蒸し物「シェーターミィ」で、どちらも甘さ控え目の素朴なもの。珍しいスイーツに、訪れた人々は次々と手を伸ばした。
10年前にミャンマーを旅行して以来同国に興味をもったという大学生・坪田朋也さんは「(映画は)ベタな感じがかえって新鮮。予想外に面白かった。今後はボランティアで何かできたら」と話していたほか、ミャンマーで1年間日本語教師をしていたという馬道優美さんは「ミャンマーを懐かしく思い出した」と感想を口にした。
「準備期間や人出・予算の関係などで画質や音声には若干問題があった」(三井さん)が、レアなミャンマーの姿を見る貴重な機会となった。三井さんはあくまで政府などの公的な力が介在しない上映を目指しており、ボランティアを頼りに地道な活動を続けている。作品の翻訳は在日ミャンマー人、意訳は三井さん自身が手掛けており、「本当に大変だった」と三井さんは振り返る。
次回の上映作品は「切り口を変えて国家的スケールのものを考えている」(同)。上映は著作権取得や字幕などの準備が出来次第で、来年には開催できる見込みだという。