新橋の和菓子店「新正堂」(港区新橋4、TEL 03-3431-2512)が12月7日、赤穂浪士47人衆の図柄と家紋を入れたようかん「義士ようかん」の販売を始めた。
同商品は11月上旬に発売を予定していた新商品。武者絵の印刷を発注していた印刷店店主が病に倒れたため回復を待っていた。新正堂の渡辺仁久社長は「ほかの印刷店にお願いする気はなかった。討ち入りの14日に間に合って良かった」と胸をなでおろす。
ようかんは1本50グラムで、「本練り」「黒糖」「抹茶」「塩」「さくら」の5種類。「浅野長矩が切腹させられたのは桜の季節。だからどうしても桜味は入れたかった」と渡辺社長。「塩」も赤穂の塩を使用するなど、忠臣蔵を意識した。各ようかんには47士の絵柄と各々の家紋を描き、裏面にはQRコードも。携帯専用の特設サイトで義士一人ひとりの詳細情報を見ることができる。
価格はバラ売り(1本=200円)のほか、5本入り=1,100円、8本入り=1,750円、10本入り=2,200円、48本入り=1万1,000円(要予約)を用意。48本入りは47士全員に加え、黒地に「義」の文字が入ったもの1つが入る。「実はようかんの『義』の文字は、線が一本欠いている。討ち入り1週間前に切腹した萱野三平のイメージ。だから『義』は必ず大石内蔵助の隣」(渡辺社長)。
47士を一人ひとり描いた武者絵は、江戸時代末期の浮世絵師・歌川国芳の作品を基に、忠臣蔵好きのイラストレーター・もりいくすおさんが加筆。出来上がった武者絵は、「大工の娘を通じて吉良屋敷の図面を手に入れた」といわれる岡野金右衛門に吉良邸の図面を手に持たせたり、大石内蔵助の白鉢巻に「萱野三平」の名を入れたりするなど、「相当なマニアでないと気付かないかも」という渡辺社長の細部にわたるこだわりを表現したもの。「加筆にあたり、歌川国芳の墓参りもした」(渡辺社長)。
同店は1912(大正元)年創業。初代店舗は、奥州一之関藩・田村右京太夫上屋敷(通称=田村邸)跡地内にあった。田村邸は忠臣蔵の発端となった播州赤 穂藩主・浅野内匠頭長矩候切腹の地。そのため、「切腹最中」(190円)など忠臣蔵にまつわる商品を扱ってきた。渡辺社長は今年3月、兵庫県赤穂市の観光大使にも任命されている。
営業時間は9時~20時(土曜は17時まで)。日曜・祝日定休。年末は30日まで、年始は4日から。