神谷町の光明寺境内の「神谷町オープンテラス」(港区虎ノ門3)は4月2日、第3期活動をスタートした。
運営に関わる「彼岸寺」は、仏教をエンターテインメントの視点でとらえ、宗派を越えた僧侶とその仲間たちが集い仏教を復興させる活動をしているグループ。「仏教サイコウ」(再考・再興・最高)をテーマにウェブサイトの運営や寺の本堂でのライブイベントなどを開催している。同テラスは、「彼岸寺」の代表で僧侶の松本さんが所属している光明寺が、同所を地域の憩いの場として公園のように誰でも気軽に立ち寄れる場所にしたいと考え2005年5月に始めたもので、「彼岸寺」は補佐を務める。主催は光明寺仏教青年会で、運営にはボランティアスタッフなども携わる。
同テラスは、広い吹き抜けの境内にテーブルと椅子、ソファを並べ、席数は約30席。近隣で働くビジネスマンやOLが1日に70人~80人が訪れる。開設した当初は認知度も無く人影もまばらだったが、3カ月ほどで「寺カフェ」としてメディアの取材も増え、昼休みにあたる12時~12時30分には持参したお弁当を食べながら談笑する人たちで満席になる。今では決まった時間に訪れ「指定席」に座る常連客も多いという。
ドリンクメニューは「ほうじ茶」と「コーヒー」。フードメニューは日替わりで、「わらびもち」や桜の蜜を使った「彼岸桜」、「嶺岡豆腐」などの中から「お坊さんの和菓子」として1日1品のみを、担当している「お坊さん」青江覚峰さんが製作し、スタッフが提供する。青江さんは「お坊さんは暇が身の上。そんなお坊さんが料理をするということは、手間と暇を十分にかけて作ることが大切だと思うので、菓子にかける蜜や黒豆なども手作り」という。ドリンク・フードの料金は「『お気持ち』で合掌とともに」(同寺)、代金はさい銭箱へ。スタッフが常駐するのは春から秋にかけての月曜・水曜・金曜。時間は11時~14時。それ以外の平日9時~17時は、参詣者の休憩場所として開放している。
同テラスについて、木原店長は「何もない所から運営を始め、不思議なことに気がついたら3年目になっていた」、青江さんは「お坊さんが寺に求めていたお寺の元々の姿である『地域の憩いの場』が形にできた」と話している。
「彼岸寺」は4月末にウェブサイトをリニューアルし、「日本の田舎」の復興をテーマに、伊東温泉の寺でのライブイベント、浅草・緑泉寺で暗闇の中で食事をする「暗やミール」などのイベントの開催を予定している。