新橋・路上靴磨き40年の中村さんの人生が歌に-井の頭の歌姫がリリース

新橋の変遷を見続けてきた中村さん。40年間、低い視点から新橋の変遷を見続けてきた

新橋の変遷を見続けてきた中村さん。40年間、低い視点から新橋の変遷を見続けてきた

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 新橋駅前のSL広場で路上靴磨きを行う中村幸子さん(80)の人生を歌った曲が収録されたCDアルバムが11月23日、リリースされた。

「新橋二丁目七番地」が収録されているアルバム

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 歌うのは「井の頭の歌姫」こと、あさみちゆきさんで、アルバムタイトルは「あさみのうたVII ~秋櫻の頃~」(2,500円/テイチクエンターテイメント)。同アルバム6曲目に中村さんの人生を歌った「新橋二丁目七番地」が収録されている。同曲は来年の3月7日にシングルカットされる予定。

 中村さんは浜松出身。東京に憧れ、19歳の時に誰にも相談せず家出同然で上京したという。体の不自由な夫と5人の子どもを養うため、さまざまな仕事に就いた。新橋と秋葉原間を毎日リヤカーで行商して歩いたこともある。力仕事がきつくなったころ、靴磨きを勧められた。「初めは怖くて広場へ出ることができなかった(笑)」と中村さんは当時を振り返る。

 初めての客は今も心に残る。「ズボンの裾にまで靴墨をベッタリとつけてしまい、平謝りだった」が、その客はその後も通い、「後に『うまくなったな』とほめてくれた」。指で靴墨を刷り込むという独自の方法も考案。親子2代で通う常連客や、40年通い続けている客もいる。「私が磨くと幸運が訪れるらしい。営業マンが『靴を磨いてもらったら商品が売れた』と報告して来ることもあった」という。

 40年前はたくさんいた新橋の路上靴磨きも、今はSL広場の中村さんと、銀座口付近で母息子2人並んで磨く計3人しか残っていない。親子のうち、母の方は65年のキャリアがあるという。「もっと長い90歳くらいの人がいたが、最近姿を見かけない」と中村さん。法の規制もあり、新規出店は不可能。彼らの引退はそのまま、路上靴磨きの歴史の幕下ろしにつながる。

 曲が作られたのは、東京新聞の記者・佐藤史朗さんの取材がきっかけ。佐藤さんは中村さんの人生を本にしようと執筆中で、本のタイトルを「新橋二丁目七番地」と決めていた。それが業界の目にとまり、同じように路上ライブで苦労したあさみさんの歌でリリースされることになった。カラオケへの配信も決まっている。中村さんはカラオケ好き。「練習して歌えるようにしないと(笑)」。

 タイトルになぞらえ、2月7日にSL広場であさみさんのミニライブを予定。本の出版は3月7日(予定)。中村さんは「CDや本が売れてみんなが幸せになってくれたらうれしい」と願う。

 中村さんの営業時間は9時30分ごろ~19時ごろ。土曜・日曜定休。雨天荒天は休業。

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