翻訳事業などを手がけるアジュール・コネクション(港区東新橋2)代表の山本ケイゾーさんが企画出演する文化放送のデジタルラジオ番組「ヤマモト世界旅行社」の放送終了に伴い、9月23日に最後の収録が行われた。
同番組の終了は「UNIQue the RADIO」チャンネル打ち切りに伴うもの。同番組のほか、同じくデジタルラジオとインターネットラジオで同時放送していた33番組が10月4日で放送を終える。文化放送によると、チャンネル終了はアニメチャンネル「超!A&G+」1本に注力するためだという。「UNIQue the RADIO」視聴者の登録数は15万人。
同番組は2007年2月にオンエアを開始。これまで隔週更新で2年半にわたり放送を続けてきた。紹介してきた旅先はヨーロッパ14カ所、アジア23カ所、アフリカ2カ所、オセアニア3カ所、国内6カ所、南極など。通常の旅番組では扱わないエリアの紹介や、世界数十カ国旅してきた山本さんの見聞録も交えた珍重な情報が多いのが特徴。
パーソナリティーを担当する山本さんは、DJを務めるのは同番組が初。「当初はコンテンツや企画の提供のみの協力の予定だった。旅好きということで親交のあった当時のディレクターの推薦でいきなりDJをすることになった」(山本さん)。2時間生放送の初回からトークも滑らかで、同番組担当者も驚いたという。結果、半年の予定がこれまで延期されてきた。
過去の放送では、マイナス26度の極寒の北海道で山本さんが鶴の声を録音してきたり、あまりにもマイナーな場所のため資料が1冊しかなかったりと苦労も多かったという。「現地の人に聴かせたい」などの要請もあり、番組は世界各地へも広がった。「本当にいい番組だった。聴いているこちらまで旅に出たくなった。無くなるのは残念」と番組担当者らも終了を惜しむ。
「相方」を務めてきたのはフリーアナウンサーの室由美子さん。2人の絶妙の掛け合いに、収録中スタッフの間でも笑いが絶えなかった。昨年8月には、空港関連ニュースサイト「みんなの空港新聞」のヘッドラインニュースを紹介するコーナーも新設。清泉女子大学在学中の「現役女子大生アナウンサー」山部朱里さんがニュース原稿を読んできた。
最終回となるこの日の収録では、総集編としてこれまでを振り返った。ゲストにはミニコミ誌「野宿野郎」(不定期刊行)編集長の加藤千晶さんが電話で登場。「側溝は風が抜けるので寒い」「ダンボールはマクドナルドのものが使いやすい」など、野宿の醍醐味や極意を語った。
山本さんは、「番組はパーソナル感のあるラジオならではの良さがあった。これほどニッチな旅番組というのもほかになく、それが長く続いた理由だと思う」と振り返る。「経済状況の変化やネットが発達した影響などで、旅も激変していく。今後も何らかの形でそういった旅情報を発信していければ」とも。
同番組の放送は9月25日=12時~14時・18時~20時、同30日=10時~12時、10月2日=12時~14時・18時~20時、同月4日=10時~12時。ウェブまたはauの対応携帯からチ9301chで受信できる。