新橋の柳通り近くに9月1日、和食ベースのダイニングバー「旬菜鳥魚屋 晴(しゅんさいとりととや・はる)」(港区新橋3、TEL 03-3436-0360)がオープンした。場所は沖縄料理居酒屋「ちゅらさん2号店」跡。
同店を経営するのは新橋出身の籠島麻衣子さん(30)。籠島さんは現在も東新橋の実家から店に通う生粋の「新橋っ子」。漬物会社の大手「新進」(千代田区神田)を経営する父の下で育ち、「お嬢様学校」として知られる都内の学校を卒業。スカウトされて芸能プロダクションに所属し歌手活動を行っていた経歴も持つ。同時に新橋のバーにも勤務。接客の楽しさとサービス業の魅力に開眼したという。
同店を始めたのは「お返しをしたい」という思いから。「大変だったとき、勤めていた店のお客さんをはじめ、みんなに助けられ乗り越えられた」という。店名の「晴」は、「人々の心を少しでも晴れやかにできたら」という願いを込めたもの。初めはバーの経営に反対していた父も、今では毎日のように客として訪れる。父とは自立した関係を保ち、オープン時も含めて資金援助などは受けていない。店で出す新進の漬物も正規に仕入れる。「父の会社のことは口外してこなかった。迷惑がかかってもいけないので。でも漬物は常時5種類くらいを置いている」。
店舗面積は約13坪、カウンター=6席、テーブル=23席。黒を基調とした内装はモダンでスタイリッシュだが、メニューはあくまでも和食ベース。ドリンクは、生ビール、サワー(以上500円)、焼酎(500円~)、日本酒(700円~)など100種類以上。ドリンクに小鉢数品が付く「晩酌セット」(900円/1,800円)や、日本酒1合に刺身3点盛りと小鉢が付く「日本酒晩酌セット」(1,500円)のほか、料理メニューとセットになった「飲み放題」(2,800円~)も用意する。
旬や素材にこだわった料理は、朝引きの「地鶏の炭火焼」(480円~)、「いかげそ炭火焼」(480円)、「お刺身盛り合わせ」(980円~)、「季節の野菜炭火焼」(980円)、「牛タタキおろしポン酢」(680円)など。厨房に立つ水島真純さん(31)はかつて一緒に働いた仲間。「料理の腕には定評がある」という。同店の常連客で、新橋の飲みサークル「新橋マニア」代表の桐野廣司さん(47)は「彼の料理は何を食べてもおいしい。いろいろな店を食べ歩いたが、バーでこのレベルはなかなかない」と話す。
「実はアルコールがほとんど飲めない(笑)」という籠島さん。そのため、多くの酒を客の要望のままそろえた。しかし一般的な価格がわからず、高価な酒を低価格で提供し、「びっくりされる(笑)」ことも。いつも笑顔で穏やかな籠島さんの人柄にリピーターも多く、女性客も集まる。「将来的には2店目・3店目を開けたら。基本は新橋で、縁があれば他の土地でも」と籠島さん。「でもまずはこの店を一生懸命やって軌道に乗せたい」とも。
営業時間は17時~24時。日曜・祭日定休。10月中旬より閉店時間を「お客さんが帰るまで」にする予定。