昨年7月末に汐留に移転した日比谷神社(港区東新橋2)が移転後初の年越しを迎え、昨日松の内を終えた。懸念されていた参拝客は例年の1.5倍から~2倍へと増加。想定しなかった事態に同神社は喜びに包まれた。
新社殿は第一京浜に面した土地で、後方にはJRの架線が走り、高層ビルが迫るという都会的な環境。禰宜(ねぎ)の三宅徳行さんは「通りに面しているため人目に付きやすいようだ。サイトを開設したことも影響しているのでは」と分析する。法人の新年祈とうも70件と、昨年の40件を大きく上回った。
昨年まで1種類だったお守りも7種類に増加。近くに日本中央競馬会(JRA)の場外勝馬投票券発売所「ウィンズ汐留」(東新橋2)があることから、「開運勝ち守」(800円)も新たに加えた。場外馬券場の利用客に人気だという。携帯に張るシール型のお守り「御守護シール」(400円)も「需要が多い」(三宅さん)。
同社は古くから旧麹町日比谷公園に鎮座していたが、江戸城日比谷御門建設により新橋へと移転。1923(大正12)年には関東大震災の被害に遭い再建設されたものの、1928(昭和3)年には都市計画区割整理のため愛宕に換地。さらに1957(昭和32)年、JR建設で旧社殿があった新橋4丁目へ。そこも「永住」とはならず、昨年夏、環状二号線(マッカーサー道路)建設に伴い現在の場所へ移転となった。
移転前に案じられていた住み心地は「電車の音がまだ慣れない。鉄粉もかなりある」と三宅さん。とはいえ参拝客も増え、3度目の引っ越しは「良い結果になった」と顔をほころばせた。同社は「鯖稲荷」の別名を持ち、全国でも例のない虫歯封じの神社。虫歯封じ祈願のためサバを絶ち、成就したらサバを奉納する習慣があったが、近年ではごくわずか。移転後の虫歯封じの祈とうやサバの奉納は「まだない」という。