新橋名物・青空大盤将棋が今年最後の対局-優勝者に賞品も

36年続く新橋青空大盤将棋。ニュー新橋ビル落成を記念したイベントで「大勢集まっても将棋なら静かだから」と企画された。

36年続く新橋青空大盤将棋。ニュー新橋ビル落成を記念したイベントで「大勢集まっても将棋なら静かだから」と企画された。

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 SL広場のニュー新橋ビル前(港区新橋2)で毎週土曜日に開かれていた青空将棋「新橋大盤将棋」が11月8日、今年度の最終日を迎えた。この日は年3回行われる大会のひとつ「将棋まつり」で、約50人が最後の対局を楽しんだ。

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 同大盤将棋は、同ビル落成の翌年1972年からニュー新橋ビル商店連合会によって開催されてきた36年間続く新橋の名物イベント。毎年4月の第1土曜日あたりから11月初旬まで開かれ、第1土曜日にはチェス盤(普通サイズ)も出す。「初代運営者の『青空将棋だけはなくすな』という遺言が受け継がれているらしい」(運営を手伝う学生)。

 開催当時から通う常連も多いため、参加者の大半は60代前後、最高齢者は90代。新橋界隈に勤めていた現役時代に参加し始め、退職したあとも継続している人や、奈良や新潟などの遠方から出張などの折に参加する人もいるという。わずかながら若者の姿も。祖父の代理参加という専門学校生・八神一人さん(豊島区・22歳)は「将棋漫画『ハチワンダイバー』がドラマ化されたこともあり、若者の間でも将棋人気が高まっている」という。

 当日はあいにくの天候となり、大会は同ビル内で行われた。6月の「名人戦」、8月の「納涼大会」に次ぐ今年最後の大会は、A級・B級・C級に分かれて行うトーナメント形式の「将棋まつり」。各級の優勝者にはトロフィーと賞状、電化製品や洗剤などの副賞を、2位・3位にもそれぞれ賞品を進呈したほか、参加者全員に菓子折りを配った。

 A級優勝の太田幸男さん(文京区・68歳)は、「青空将棋に通い始めて3~4年。2度目の優勝」と貫録を見せ、B級優勝の落合高市さん(足立区・72歳)は「昭和49年(1974年)から来ている。将棋は子どものころから」と顔をほころばせた。C級優勝の松井勝敏さん(港区・67歳)は昨年からの参加。「優勝はまぐれ(笑)。ボケ防止にやっている」と話す。

 同イベントに使用される大盤サイズの将棋盤と駒は、山形・天童に特注したもので、文字には漆が使われた高級品。30年以上使われてきた駒はどれも黒光りし、風情を醸す。劣化するものもあるが、「亀裂の入ったものはテープを巻いて補修。漆がかすれてきたものは、仕方がないのでマジックで書き足している(笑)」(同イベント管理者・鵜沢さん)。

 18面ある大盤将棋は設営も撤去も一仕事。そのため、10年ほど前から早稲田大学将棋部の学生らがアルバイトに来ている。浦安に住む会社員・日比野浩三さん(26)は元OB。「大学院まで5~6年バイトさせてもらった。今でも時々顔を出している。将棋は奥が深くて面白い」。同大学に在籍する女流棋士・熊倉紫野さんも以前は将棋を指しに来ていたという。

 今年最後とあって、この日はいつもより人が多く集まった。横浜から来ているという常連の男性(72)はこう話す。「毎年『また来年の4月に』と言い合って別れるが、高齢者が多く冥土に旅立って来なくなる人も少なくない。だから4月に行かないと『あいつもか』と言われるから春は参加必至(笑)」。

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