浜松町駅の山手線外回り側ホームにたたずむ「浜松町駅名物」の小便小僧が10月27日、秋の火災予防運動のため消防署の制服に衣替えした。
同PRは芝消防署(港区新橋6)の要請により1986年より始まったもので、当初は年1回だったものが、現在は3月と11月の年に2回行われるようになったもの。毎回異なった部署の制服で、今回はIRT(緊急国際消防援助隊)の制服。
小便小僧の洋服の制作と着せ替えを行っているのは、港区の手芸サークル「あじさい」。1955年に国鉄の嘱託歯科医だった小林光さんより寄贈された小便小僧が服を着るようになったのが1953年からで、当時着せ替えを行っていた大田区の主婦が1985年に亡くなった後はしばらく裸のままだった。
1986年に芝消防署が「火災予防運動のPRを小便小僧に」と要請を出した時に、初めて洋服の制作を手がけたのが同サークル。「PR活動が終わった後も、なんだか裸のままにしておくのがかわいそうで、洋服を作るようになった」(メンバーの平田美弥子さん)」。以来20年あまり、毎月26日に衣替えが行われているという。
着せ替えに立ち会った芝消防署予防課の水野正己さんは「このような活動を続けてくれることは大変うれしく、『あじさい』の皆さんには大きな敬意を持っている。消防署員にはできないことで、皆感謝して見に来ている」と話す。制服の製作に当たっては、事前に写真資料と生地を「あじさい」に提供し、厳格に再現してもらうという。「きちんと再現しないと、マニアの人から指摘が入る(笑)」とも。
「小便小僧は台座や体の一部同士を離すことができないので、洋服は途中まで作ったものを現地で着せてから縫い合わせて完成させなければならず、それが大変」とメンバーの後藤和子さん。そのため着せ替えには1時間ほどを要する。衣装には時事ネタを取り入れることも多く、8月には北京オリンピックにちなんで卓球のユニホームを着せた。
今回のPRは来月26日まで。小便小僧の着せ替えは毎月26日(土曜・日曜除く)。