新橋・高架下の伊那名物「ローメン」、話題に-名古屋から通う常連も

醤油味のようでソース味のような、不思議な味のローメン。かなりの大盛りだが野菜も多く、酸味のある味付けでもたれることなく食べられる。

醤油味のようでソース味のような、不思議な味のローメン。かなりの大盛りだが野菜も多く、酸味のある味付けでもたれることなく食べられる。

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 新橋ガード下のバー「パウ・ハナ・ドゥー」(千代田区内幸町1、TEL 03-3592-9030)で出す長野・伊那地方の郷土料理「ローメン」が話題を集めている。

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 ローメンは中国語の「チャーローメン(炒肉麺)」が語源の、蒸し麺を伊那地方特産のラム肉やキャベツを炒めた料理。伊那地方では50年前より庶民の味として定着しており、「蒸し=ムシ」から6月4日を「ローメンの日」とするほど人気が高い。一度蒸した麺を乾燥させた半生麺は薄茶で、スープと炒め蒸しするため独特の食感となる。

 ガード下の同所で20年営業している同店でローメンを出すようになったのは5年ほど前。常連客の一人で伊那市と東京を行き来する漫画家・橋爪まんぷさんが「故郷の味が東京では食べられない」と言ったことがきっかけだったという。元々同店は客の食べたい物を出す家庭的な店で、「すべてが裏メニューのようなもの。お客が『あれが食べたい』と言えば、それに近いものを何でも出す」(同店オーナーの小宮恵美子さん)。

 橋爪さんを含め当時2人いた伊那出身の常連客を喜ばせようと、都内出身でローメンを知らなかった小宮さんは橋爪さんと伊那へ行き、町中のローメンを食べ歩いた。「店ごとに具材も味もスタイルもさまざまだった」(同)いうローメンに小宮さんなりのアレンジを加え、現在の味となった。麺とソースは伊那から取り寄せているが、詳細の作り方は「企業秘密」(同)。

 「伊那の本物とは違う」と小宮さんは話すが、噂を聞きつけて訪れた伊那出身の人々は皆懐かしんで喜ぶという。「本物よりおいしい」という意見もあり、中には「名古屋から出張の度に足を運ぶ伊那出身の客もいる」。都内でローメンを出すところは珍しく、「恐らく新橋ではうちだけ」。

 同店のローメンは話題を呼び、テレビや雑誌の取材も増えた。昨年からは正式にメニューへ載せ、表の看板にも「ローメン」の文字を入れるように。わざわざ遠くからローメンを食べに来る客が増え、小宮さんは「ありがたい」と言いながらも、「うちは会話やお酒を楽しんだり、音楽を聴いたりしてゆっくりする店。ローメンばかりが取り上げられて、少し戸惑っている」とも。

 かつては漫画家たちのたまり場だったという同店は、「大人がほっと一息つく空間」(同)。今後も客が望めば新たなご当地メニューが加わる可能性もあるという。「伊那の空気を少しでも感じてもらえたらうれしい。JR東日本側のガード下は再開発のあおりで昔のにぎわいはなくなり、閑散としてしまった。いつまでここにいられるかわからないが、少しでも長く伊那のアンテナショップの気持ちで発信していきたい」と小宮さんは話す。

 営業時間は5時30分~22時30分。土曜・日曜・祝日定休。

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