愛宕にプレオープンした、仕事や生き方を模索する「まち」プロジェクト「リトルトーキョー」(港区愛宕1)が話題を呼んでいる。場所は昨年虎ノ門に移転した老舗すし店「虎ノ門 蛇の目鮨」跡を中心に、隣接する空き地とオフィスビルの一部。
この「まち」では、「市民」となる参加者が現在の職業とは別に「もう一つの肩書き」を持つという構想。やってみたい仕事やなりたい職業を、同所で実際に実現したり実験したりすることを目的とする。「まち」の運営は税金をイメージした会費制を導入する予定。「直接民主制」で決定した予算を使って各人の希望を実践する。店舗は一般の利用も可能。
運営するのは、「日本仕事百貨」(港区)と「greenz.jp」(港区)。同プロジェクトは、4月8日に渋谷・ヒカリエで行われた第1回目の「市議会」を皮切りに、7月26日に愛宕でプレオープン。以降、「市民説明会」やワークショップなどのイベントを展開する。グランドオープンは10月1日の予定で、それまでに100人の「市民」を決定するという。
日本仕事百貨代表のナカムラケンタさんによると、プロジェクトのきっかけは「オフィス移転で出会った現在の物件が、木造建築や空き地、ビルなどを一体的に使える素晴らしい場所だった」ため。合計面積は約300平方メートル。「単なるオフィスではなく、カフェやバー、ショップなどのある『まち』をつくりたいと思った」という。「まち」のイメージは、「大人版キッザニアのようなものと考えてもらえたら」。
これまで3回の「市民説明会」を開催したが、「反響は予測以上」とナカムラさん。物理的なキャパシティーを考慮し、当座は100人の市民で始動。「必要に応じて拡張していきたい」という。現在空き地にはギャラリーや関連図書・グッズを販売する小屋2棟が完成。庭にはゴーヤが植えられた。すし店跡では電源フリーのカフェとバーもオープン。ナカムラさん自身がバーテンダーとなり、店に立つこともあるという。
「都会では、同じオフィスビルで働いていても、お互いを知らないことがほとんど。ここでは互いの顔の見える『まち』にしていきたい」とナカムラさん。「職業や一般的な生き方にとらわれず、フロンティアを見つけてほしい」とも。