日本トイレ協会(港区虎ノ門1)は9月12日、トイレ研究や技術開発、衛生指導を行う事業部門を「トイレ研究所」として独立させることを正式に発表した。今後は法人化も視野に入れるという。
日本トイレ協会はトイレ環境の改善とトイレ文化の創出をテーマに1985年、トイレを専門とした機関としては世界初の任意団体として設立された。これまで国内の調査研究、技術開発、イベントコンサルティング、国内や途上国小学校での衛生指導など、トイレに関わる多様な活動を続けてきた。2001年には同協会が中心となり「世界トイレ協会(World Toilet Organization=WTO)」も始動している。「日本トイレ研究所」の立ち上げは、事業内容が広域になったため。
同日開催された発足会では、オリジナル曲「うんちっちのうた」の発表や、「これまでありそうでなかった」(日本トイレ研究所)というトイレットペーパーの1日の使用量の調査発表が行われた。「うんちっちのうた」は、同研究所所長に就任した加藤篤さんが作詞し、作曲は音楽家の三村奈々恵さん、編曲はオルケスタ・デル・ソルの森村献さんが担当。森村さんは東洋陶器創始者の曾孫でもあり、加藤所長は「縁を感じる」と話す。
20~60代の男性26人、女性15人に実施したトイレットペーパー使用量の調査結果によると、大便と小便の回数は男女差がほとんどなかったが、トイレットペーパーの使用量の平均は男性が171.9センチ、女性が660.2センチで、小便時にもトイレットペーパーを使用する女性の使用量が大幅に長くなった。大便時のみの結果では、男性が132.7センチ、女性が99.4センチと逆転。
報告を担当した研究員は「発足会開催の緊張で、今日はトイレを利用する回数が増えた(笑)。今後はそうした健康状態やウォシュレット併用時なども加味してトイレットペーパー使用量を調査していきたい」と話す。
加藤所長は「世界には衛生的なトイレを利用できない人が26億人もいる。トイレの未整備や不衛生な生活習慣が原因で死亡する5歳未満の子どもは年間およそ190万人。日本では環境、空間、災害時の排泄対策など別の多くの課題を抱えている。地球上すべての人が安心して健康的な生活を送るために必要なトイレ環境のあり方について提案し、実現に向けて活動したい」と抱負を語った。