業務用ベジタリアン食材などを販売するリンガント・ジャパン(港区東新橋2、TEL 03-6868-7593)は8月6日、ホテルや国際会議場などへのハラル・ベジタリアン食のデリバリーサービスを開始した。
同サービスは、宗教などで食材に制限のある外国人ビジネスマン・観光客支援を目的としたもの。厳格な規律を持つ宗教を信仰している外国人は、訪日中食事に困ることが多い。自身もビーガン(ベジタリアンの一つ)という同社代表取締役社長の丸山玲子さんは、「彼らの支援になれば」と昨年末、宗教食含むベジタリアンに対応するレストランの検索サイト「VEG-travel(ベジトラベル)」をオープン。その反響を受け、ハラル・ベジタリアン食のデリバリーサービスを企画した。
訪日外国人を受け入れる施設では、ハラルなどの宗教食や様々なベジタリアン食に対応することはなかなか難しい。同社では、世界各国のメニューを専用工場でハラル・ベジタリアン向けに調理加工。冷凍で全国に発送する。「世界の料理はほぼ何でも対応できる。難しいメニューもあるかもしれないが、まずは相談してもらえたら」と丸山さん。肉の代わりには、大豆でできた「大豆ミート」を使用する。
対象食は、マクロビオティック、ビーガン、ラクト・ベジタリアン、オボ・ベジタリアン、仏教系、ジャイナ教系、ヒンドゥー教系などのベジタリアン食と、ローカルハラル認証規格のハラル食。ローカルハラル認証とは、日本の環境に合わせローカライズされたハラル規格で、マレーシアとインドネシアのハラル認証管理資格を持つイスラム教徒が、日本国内で実現可能な基準を定めたもの。
食材通販のユーザーは「意外にも健康を気遣う一般の方の利用が多い」(丸山さん)という。検索サイトは外国人ユーザーの利用も多く、「日本はベジタリアンには旅行しづらいので重宝した」「ムスリムの規律を守りながら旅行でき、良かった」などの声が寄せられているという。デリバリーサービスについては「今後訪日外国人を迎え入れる施設の一助となれば」と願う。
丸山さんは、中国での留学中、様々な体験を通してベジタリアンになった。自宅ではビーガンの丸山さんだが、「外食でビーガンを通すのはなかなか難しい」と実感する。「ベジタリアンやムスリムなどの規律を守ることは、自分のアイデンティティーを守ること。それらの課題がクリアになれば、外国人の観光誘致にも繋がる」とも。