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虎ノ門の老舗呉服屋「丁子屋」でアートイベント 国宝をデジタル復元

復元された「花下遊楽図屏風」と「淀殿」の着物

復元された「花下遊楽図屏風」と「淀殿」の着物

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 虎ノ門の老舗呉服店「丁子屋(ちょうじや)」(港区西新橋1、TEL 03-3591-0529)で1月26日、「誰も知らないアート・タイムトラベル体験へ デジタル復元が誘う日本美術の新しい鑑賞『国宝・花下遊楽図屏風(びょうぶ)編』~醍醐の花見 失われた花の宴をもとめて~」が開催された。

和ろうそくの明かりで見る「花下遊楽図屏風」と「淀殿」の立ち姿を再現

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 同イベントは、デジタル復元師・色彩家の小林泰三さんが虎ノ門のイベント会社フォーランナーと進める「アート・タイムトラベル」プロジェクトの一環。同社が新橋~虎ノ門エリアとのつながりが濃いことから、同店で開催することが決まった。

 大学で「美学美術史」を学び卒業後、大日本印刷で画像処理技術を身に付けた小林さんは、2004年に独立し「小林美術館」を設立。それまではデジタル上で復元し、スクリーンに映し出すデモンストレーションをすることが多かったが、一つ一つの作品を画像だけで終わらせるのではなく、レプリカにまで復元し、実際に触りながら間近で鑑賞することを目的とした「賞道(しょうどう)」を展開。「描かれた当時の色」を「描かれた当時の環境」で鑑賞するとどうなるかを追求している。

 当日、披露したのは東京国立博物館が所蔵する国宝の「花下遊楽図屏風」と、屏風の中に描かれている「淀殿」の着物を実寸大で復元したもの。現存する同屏風は「淀殿」が描かれる真ん中の部分の色が失われており、屏風の色を復元した後に、着物の模様を抽出。復元された着物の色や柄を基に、京都の和裁士が着物を製作。調査に6カ月、画像処理に3カ月、着物製作に4カ月の全1年1カ月の時間をかけて復元された。

 小林さんは「日本美術は本来『きれい』『かっこいい』『すごい迫力』という臨場感を楽しむ分かりやすいもの。『賞道』や『アート・タイムトラベル』を通じて、本当の日本美術のワクワク体験をもっとたくさんの方たちにしていただきたい」と話す。「今年、創業220年目を迎える老舗の呉服店とコラボレーションできてうれしい。今後も同じようなイベントが継続できるように進めていきたい」とも。

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