山形の板そば店、県のショップから独立-霞が関の新店舗で再開

再開が決まった「出羽香庵」(開店イメージ)。県民が愛する「山形そばのおいしさを楽しんでもらえたら」とオーナーの鏡弘道さんは話す。

再開が決まった「出羽香庵」(開店イメージ)。県民が愛する「山形そばのおいしさを楽しんでもらえたら」とオーナーの鏡弘道さんは話す。

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 虎ノ門駅近くの山形県アンテナショップ内で営業していた山形そば店「出羽香庵(でわこうあん)」が10月22日、新霞が関ビル(千代田区霞が関3)で独立再開する。同店は、8月16日の同アンテナショップの銀座移転に伴い、一時閉店していた。

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 新店舗は同ビルの1階で、テーブル数は8卓、席数は旧店舗と同じ32席。以前は高級すし店が入居していたという。「いわゆる官官接待がなくなった現在は需要が激減、閉店となったらしい」(出羽香庵オーナー・鏡弘道さん)。新霞が関ビルのあるエリアは飲食店が少なく、「ランチ難民」が多い。特にそば店は他にないため、これまで以上の需要が見込まれる。

 同店は1995年12月1日、山形県アンテナショップの虎ノ門出店の際に県からの委託事業としてショップ内にオープンした。本店の「庄司屋」(山形市幸町)は慶応年間に「そば茶屋」として創業した老舗で、鏡さんの妻・克子さんの実家。県の依頼を受けた際、「東京支店をやってほしい」と都内に勤務していた鏡さんに白羽の矢が立った。

 「妻の兄から依頼があったのが95年8月。それまでそばには触ったこともなかったのが、12月1日の開店に向けて急きょ本店で修業という思いもよらない展開となった。妻はそば屋が嫌でサラリーマンの自分と結婚したのに(笑)」。以来、克子さんとともに店を切り盛りしてきた。

 今回のアンテナショップ移転は、「土日も営業できる商業地域へ」という新知事の意向。「銀座へは一緒に行けないと告げられ他のエリアへの出店も考えたが、常連客のことを思いこの地に留まった」(同)。新店舗は常連客の紹介。「これまでと違い、出費も多くなるが独立したことは結果的に良かった」と鏡さんは話す。

 山形はそば粉9割、小麦粉1割の「十一(といち)」による「板そば」が名物。「板」とは横長の大きなせいろ状の木枠のことで、「昔は収穫を祝ってそばをお盆などに盛り付け、近所に振る舞ったのが由来」(同)という。そばは太くて歯ごたえのある田舎そば。出羽香庵では東京の好みに合わせ、配合は二八にしている。

 そばメニューは「板そば」(950円)、「板天」(1,700円)、「かけそば」(600円)、「天ぷらそば」(1,300円)など。これまで秋限定だった山形名物の「芋煮」(小=400円、大=800円)は、移転を機にレギュラーメニューに「昇格」。宴会にも対応しており、そばの付いた山形料理のコースは4千円から。山形の酒もそろえる。

 都内に山形料理を出す店は数軒あるが、「本格的な山形そばを出す店は他になく」(同)、同店は山形県人の集う場所にもなっているという。「山形県は結束が固い。都内だけで50以上の団体が存在し、警視庁や消防庁にも県人会があるほど」(同)。

 「2か月休んでのんびりした。うちの板そばを心待ちにしている方々のために、心機一転頑張りたい」と鏡さん。22日から約1週間、オープンを記念して来店客に山形県産の「そば茶」を配る。

 営業時間は、11時~20時30分。土曜・日曜・祝日定休。

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